【レポート】胡桃堂のこども+おとなてつがく(20180830開催)

夏休みも終わる8月の終わり。胡桃堂喫茶店に大人と子どもあわせて29名が集まり、哲学対話をしました。

「哲学」というと難しく聞こえるかも知れませんが、何となくいつも疑問に思っていること、正解のない問いをみんなでじっくりと考えてみる機会と考えていて、誰からも否定されることなく、安心して意見を言ってみる、他の人の意見を聞いてみる場が日常にあるといいな、という思いで開催しています。

まずは何についてみんなで考えるかを決める「問いだし」。ここは子どもが主役です。まちのおやこテーブルのこどもてつがくでお馴染みのファシリテーター、幡野雄一さんが今日のルールを説明します。

  • 人の話は丁寧に聞く
  •  違いを楽しむ

今日ここで僕らは何について話そうか?みんなと話してみたい問いはある?

次々と手があがり、黒板がみるみる埋まっていきます。

  • なぜ人は生きるのか?
  •  人生って何?
  •  大人と子どもはどっちがすごい?
  •  人間の先祖は猿なのに、なんで猿はまだいるの?
  •  何で人は死ぬの?
  •  何で平等じゃないの?
  •  人は死ぬとどこへ行くのか?
  •  赤ちゃんはどうしてできるの?
  •  偉い人って何?
  •  地球はどうして丸いの?
  •  なんで今僕はここにいるの?
  •  恐怖ってなに?
  •  人間が絶滅したらその後どうなる?
  •  自分の家族はどこまで続いているのか?
  •  お母さんは「バカって言ってはいけない」というのに、なぜ自分では「バカ」っていうの?
  • 自分はバカなのか?
  •  なぜ大人が中心なのか

などなど。 小学校3年生以上、ということを考えても子どもたちが考えていることのスケールの大きさに圧倒されました。

ここからどの問いを選ぶのか、選び方も子ども達に問いかけます。
今日話す問いはどうやって1つに決めようか?

  • 似ている問いは一つにしてはどうか。
  •  似ていても違う問いとして出したのだから大切にした方がいい。
  •  多数決で決めると早い。
  •  多数決は、他の意見が消えてしまう。
  •  一人で複数票だったらどうか。
  •  一人1票とすると、いろんな問いが1票だけ入ることになり決まらないはず。

一人2票か4票かでしばらく話し合い、一人2票に決まり、今日の問いは、「お母さんは「バカって言ってはいけない」というのに、なぜ自分では「バカ」っていうの?」に決まりました。

ここから、大人チームと子どもチームに分かれ、同じ問いについて考えます。大人チームは胡桃堂喫茶店の店主影山知明さん、子どもチームは幡野さんがファシリテートしてくださいました。

レポーターは大人チームに同席しました。

  • バカに限らず、ダメと言っておいて自分がやってしまうことがありよく指摘される。子どもはよく見ている。
  •  バカと言わないように気をつけていたが、反抗期に入ってつい感情的になって言ってしまった。
  •  バカには色んなニュアンスがある。天才バカボンが好き。バカは世界を救うと思っている。バカは使い方次第ではないか。
  •  家で言わないようにしていたが、周りの子や友達から言われるようになった。バカの温度感の違いが分からなかったようだ。悪い言葉を教えなさすぎた。
  •  大人と対等と見るか子どもは未熟と見るか。
  •  そもそも大人と子どもの違いは何か。大人のような子ども、子どものような大人がいる。
  • バカという言葉の問題というよりも、相手の話を聞かず反論を許さないコミュニケーションが問題なのかも知れない。

子育て中の方、塾の先生、大学生など大人といってもその肩書きや年齢は様々。話は尽きませんが、時間になりました。 最後は大人と子どもが輪になり、それぞれのチームで話したことを紹介し合いました。レポーターの印象に残ったのは、子ども達が伸び伸びと思ったことを発言する姿。そして、大人の言葉を真剣に聞いて思いもよらぬ発想をすることでした。

  •  バカという言葉が生まれたのは必要があったからのはず。
  •  他の子に言ってはいけないことだと分からせるために、子どもを思って言っているのだと思う。
  •  バカという時の表情によって、意味合いが違う気がする。
  • 自分にバカと言うこともある。そうしたら調子が出なくなったので言わないようにしている。

などなど。 哲学の場に何度も来て楽しんでくれる子、最初は意見を言わなかったけれどみんなが喋っていたら自分も話せるようになったと言う子、最後まであまり意見を言わなかったけれどみんなの話を楽しそうに聞いていた子。子ども達の過ごし方はそれぞれでしたが、ひとつの問いをみんなで考えてみる、考えていることを言ってみる、違う意見に耳を傾けるという時間を楽しんでくれたとしたら嬉しいです。

今回の哲学対話は、募集を始めて数日で大人枠は満席となりました。子どもの飾らない声を聞いてみたい、子どもたちと対話をしてみたいと思う方がこんなにもいるのだなと驚きました。

私も親として今日の場を振り返ると、これほど自分の子どもの考えにじっくり耳を傾けたことがあったかな、とまちの子どもから教えられたと感じました。

参加された方の感想を一部ご紹介いたします。

◯最近学校教育に関心があるので、実際の小学生がどんな言葉を使い、どんな顔をして話すのか、自分で見て感じたいという目的で参加させていただきました。 子どもたちの問い出しが始まると、驚きの連続でした。 「人はなぜ生きるのか」「人はなぜ平等じゃないのか」そんな言葉が子どもたちの口から出てくる度にぞくぞくするような思いでした。 こどもチームとおとなチームということで、私は当然のごとく大人の側に入ったのですが、そこで大人の皆さんの話しを聞いていると、子どもを持ったことのない私はまだまだ親の保護下にある「子ども」なのかもしれないと感じました。 「大人になったら」という言葉を使わなくなり「子どもの頃」という言葉を使うようになって、自分は大人になったんだと思い込んでいましたが、学生として私は大人と子どもの間のような存在なのかもしれない、ということを感じる時間でした。

◯とてもいいイベントだったと思います。子どもは知らないこともたくさんあるけど、大事なことはわかってるんだなあとあらためて思いました。 子どもが話しやすい雰囲気を作ったからこそ、次から次へと発言が出てきたのだと思います。あんな感じで大人が聞いてあげると、もっといい関係が築けるんでしょう。 次の機会があればまた参加したいと思います。

◯娘は最初こそ様子をみておとなしくしていたようですが、「自分の意見をありのまま伝えても否定されない」空間に安心したようで、帰り道でも誰がこんな意見を言っていた、私もこんな発言をした、と沢山教えてくれました。 「バカって言われてるのも、自分自身で自分をバカって思ってるのも自分だけじゃなかったし、バカは意外に悪い言葉でもないんだってわかった」と話していました。 参加している子どもたちみんなが、たくさんの素朴な疑問をもっていて、それに対して主体的に思考しているんだなぁ…と学びばかりでした。 また機会があれば是非参加させていただきたいです。

◯今日もとても楽しく過ごしたそうです。何が楽しかったのかと聞くと、 「何かひとつのことが楽しかったというよりは、考えるのが好き。自由に。だから行きたかった。」と言ってました。 この「自分は考えるのが好きだ」ということと同時に「”考えること”というのが好きなことであっていい、そう言っていい」 とそっと気づかせてくれたり、教えてくれたのが、4月、6月と2回参加させて いただいたこどもてつがくの場だと親的には思っています。今回もありがとうございました。

◯娘は一言も喋らなかったので、帰りに「何でしゃべらなかったの?」と聞いたら「お母さんがいて嫌だったし、人がいっぱいで恥ずかしかったから」と。申し込みのときは「大人と一緒にやるなんて、いつもと違うから絶対出たい」と涙まで見えたので、学校を早退までして参加したのに。「で、どうだった?」と聞いたら「楽しかった!次も絶対行く」と申しておりました。聞いてるだけでも楽しかったんだなあと思いました。

参加してくださった皆さん、定休日にもかかわらずお店を使わせてくださった胡桃堂喫茶店の皆さん、どうもありがとうございました! まちのおやこテーブルでは、大人も子どももひとりの人として平等の関係性を目指しています。誰もが尊重され、対等に対話する。それを実践できる場をこれからもまちの中で作っていきたいと思います。

(文:ヨーコ)

2018-10-03 | Posted in イベント開催レポートComments Closed 

関連記事